DIYとは皆様御存知の通り、Do It Yourself. の頭文字です。一見何の問題もなさそうですが、少し立ち止まって考えてみると、「自分」に対してmyselfではなくyourselfが与えられていることに気が付きます。つまり、自分で出来ることは自分でやろうぜ、と呼びかける「私」が居て、その呼びかけに応えて工事を行う「あなた」が居る。メディアやホームセンター、家具量販店である「私」が、「これとこれを買えば手軽につくれますよ。」「このパッケージに入った部材を組み立てれば出来上がりますよ。」と「あなた」を誘導し、組立費をコストダウンしながら商品に付加価値を与える実に巧みな販売戦略であるということが分かります。
この極端な2つのムーブメントをもう少し緩やかに結びつける何かを作れないか、という事は、私が独立して以来ずっと考え続けているテーマです。DIYは手軽である反面、あらかじめ完成形が定まっているために作り手の想像力が刺激されません。セルフリノベーションは思う存分想像力を発揮できますが、身を捧げる程の覚悟がないと踏み込めません。作り手の創造力を刺激しながら、手軽なツールとして用いることができる何か。DIYをDIM (Do it myself) に換えられる何かを作れないか、少しずつですが試行錯誤を行っています。